観葉植物
与太郎の妄想独り言

2017-08

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うつくしいかおり、のぞむはる その3

4月第2週 その1?2

「「いってきまーす!」」
元気に飛び出していく亜美と真美。
「行ってらっしゃい」
玄関で普通に見送る姉さん。
「姉さんは、大学はまだ始まらないの?」
「うーん、たぶん来週からになると思うんだけど」
「随分ゆっくりなんじゃない?」
「仕方ないのよ。教授が学会から帰って来てないんだから」
「ふーん、それって学校の講義より優先するものなんだ」
「それはそうよ。だって大学は自己管理・自己責任の世界だもの。高志くんも、入れば分かるわ」
「そうだね。じゃ、行って来ます」
「自転車、気をつけてね」
家から高校までは、頑張れば歩いてでも行けるほどの距離(でも頑張るつもりはない)なので、
俺は自転車通学を始めた。
玄関先を出ると、斜向かいの家の前で三人の女の子がお喋りしているのが目に入る。
二人は亜美と真美。
残りの一人が俺に気づいて手を振ってる。
「高志クン、オハヨー!」
元気だけれどどこか気の抜けた、独特の喋り方だ。
「おはよう、美希」
近づきながら、俺も挨拶する。
星井美希。
俺たち兄妹の幼馴染。
お互いまだ小さかった頃に美希の家がここに引っ越してきてからの大の仲良しだ。
「二人共いいのか?あんまりのんびりしてると、まっつたん待たせちゃうぞ?」
一応、亜美と真美には声を掛けておく。
まっつたん(ちなみに本名は松浦奈美ちゃん)は二人の同級生で、今年は真美のクラスメート。
毎朝一緒に登校している。
「分かってるって。ミキミキじゃーねー」
「また真美たちとゲームしよーねー」
「うん、またねー」
小学校と中学校は方向が逆なので、始めから通学路が違う。
「俺たちも行こうか」
「うん、行こ」
だけど高校への通学路は中学のすぐ側を通るので、俺と美希は今まで通り一緒に通学している。
他愛の無いお喋りをしながら美希と歩く通学路。
まだ冷たいけれど、気温の上昇と共に日に日に柔らかくなってきた風が心地いい。
途中、元気に駆け寄ってきた女の子と合流した。
「美希ー、おっはよー!」
「おはよー、やよいっち」
「高志さんも、おはよーございまーす!」
「おはよう。今日も元気だねやよいちゃん」
「はい!今日も朝ごはんたっくさん食べて、元気もりもりでーす!」
高槻やよいちゃんは、美希のクラスメートだ。
小柄な見た目からは想像できないほど元気な子で、のんびり屋の美希とは何故か馬が合うらしい。
俺が美希の宿題をよく見ている関係で、やよいちゃんと一緒に三人で勉強会をよくやっている。
おかげで俺とも仲良くしてくれている。
「ねーやよいっち、例の教材買いに行くの今度の土曜と日曜どっちにする?」
「あ・・・うん、それなんだけど」
急に困ったような顔になる。
「今度の土日は用事が入ってるんだ。それで、何時に行けるか分からないから約束はできないよ」
「えーっ?やよいっちとお買い物に行くの、ミキ楽しみにしてたのにー」
「うー、ゴメンね美希」
あらら、やよいちゃんを困らせちゃってるよ。
「やよいちゃんにだって都合があるんだし、仕方ないだろ?」
「だーってぇ」
「うーん、じゃぁさ、俺と行くか?買い物」
「えっ?高志クンと?」
「うん。俺も授業で必要な物があるし、同じ買い物に行くなら一緒にと思ってさ」
買い物は本当だけど、やよいちゃんも困ってるし、何より朝から美希の機嫌を損ねるのはゴメンだ。
「うん、行く行く!約束だよ?」
「もちろん」
どうやら機嫌を損ねずに済んだ。
「いーなぁ」
やよいちゃんが呟いた。
「やよいっちもガンバって時間作ればいいんだよ」
「それが出来るならやってるよー」
そっか、やよいちゃんも楽しみにしてたんだ。
「またこの次でいいだろ?」
「え?この次ってそんなに教材必要なんですか?」
「そうじゃなくて。また今度、別の買い物で出掛ければいいじゃない。
 それこそ買い物じゃなくてもいいんだし」
「あ、そうですよね」
「じゃ今度はおいしいケーキ屋さんとかいこーよ」
美希も乗ってきてくれた。
「うっう?、それじゃ今度は高志さんと三人でお出掛けしよ?!」
「えっ、俺も?」
いつの間に三人の話になってたんだろ。
「あ・・・ごめんなさい。やっぱりご迷惑ですか?」
「とんでもない。むしろ誘ってもらえるなら大歓迎だよ」
「いえーい、やったー!」
飛び上がって喜んでいる。
ま、亜美と真美に付き合うことに比べれば楽勝だ。
「あーっ!伊織ちゃーん!」
そう言って飛んでいくやよいちゃんの先に居る美少女。
端正な顔立ち、腰より下まで伸ばした良く手入れされた長い髪。
そして内からにじみ出る気品の高さ。
誰もが思わず見入ってしまうが、決して高く無いその背丈とは裏腹の圧倒的な存在感は
誰も寄せ付けない雰囲気を醸し出している。
「やよい?」
その子がやよいちゃんへ振り返る。
「おっはよー!」
やよいちゃんは構わず抱きついた。
「ちょっと、やよい!?は、恥ずかしいからやめなさい!」
あっけにとられた。
普通に抱きついたやよいちゃんにも。
取り乱しているあの子にも。
「なぁ美希、あの子って?」
「デコちゃん?」
「デ、デコちゃん!?」
「うん。あのオデコ、かわいいよね」
確かにアップにした前髪のおかげで、あのオデコが彼女のトレードマークになってるけど。
「いや、そうじゃなくて・・・」
「なに?高志クンも知ってるよね?」
知ってるも何も、去年中学にいたヤツで知らないやつはいない。
水瀬伊織は『あの』水瀬財閥のお嬢様で、近所にあるお屋敷はこの辺りじゃ知らない者はいない。
去年彼女が中学に入学した時は、学校中で話題になった。
「今年から一緒のクラスになったんだよ」
あっさりと言われた。
「デコちゃん、おはよー」
挨拶しながら二人に近づいて行く美希。
って言うかデコちゃんなんて呼んで大丈夫なんだろうか?
とりあえず美希の後ろを追いて行く。
「アンタも一緒だったの?って言うか美希、その『デコちゃん』って呼ぶのやめなさいって
 何回言えば分かるのよ?・・・・・・誰?」
彼女の視線が美希のすぐ後ろにいた俺に移る。
その視線には明らかな警戒心・・・よりも敵意?が見て取れる。
変に声をかけるとかえって煽りそうなので、まずは会釈だけにしておく。
「あ、伊織ちゃんにも紹介するね。ほら、いっつも話してる美希の幼馴染の双海高志さん。
 私もよく宿題見てもらってるって言ってたでしょ?」
「初めまして、双海高志です」
やよいちゃんのおかげで自己紹介はさせてもらえたが、それだけ言うのが精一杯だった。
初めから聞く気が無い、と言うか明らかに拒絶されている。
「ふーん、アンタが」
そう言うと俺の顔を見ていた視線がゆっくり足元まで一往復した。
値踏み、じゃないな。これじゃスキャニングだ。
そんなに不審人物に見えるんだろうか?俺って。
「ま、毒にも薬にもなりそうにないわね」
ピシャリ!と言われてしまった。
「い、伊織ちゃん!?いくらなんでも言いすぎだよ!」
「ヒドイよデコちゃん!そんな言い方あんまりだと思うな」
「アンタ達ちょっと黙りなさい!
 大体、幼馴染だか何だか知らないけど二人共コイツのこと信用しすぎなんじゃないの?」
えっ?
彼女は俺を睨みつけながら続ける。
「はっきり言っとくけど、もしやよい達に何かしたらただじゃ置かないから。覚えておきなさい」
・・・なるほど、そう言うことね。
「えーっと伊織ちゃん?」
「なれなれしく名前で呼ばないでちょうだい!」
ありゃ、これは一本取られちゃった。
「ごめんなさい。じゃ改めて水瀬さん」
「何よ?」
「君が二人のことを大事に思ってるのは分かるけど、俺もこの二人の事は君に負けないくらい
 大事に思ってる。だから・・・」
「だから何よ?」
「俺も美希達になにかするような奴がいたら、そんな奴は絶対に許さない」
つまりこの子は二人が大切な友達だから、見ず知らずの俺に強い警戒心を抱いただけなんだ。
彼女の目を真っ直ぐに見ながら、俺は言った。
「君と同じだよ」
少しの間、彼女は俺を睨みつけた。
「フンッ。二人共ボヤっとしてたら遅刻しちゃうじゃない、さっさと行くわよ」
そう言って先に行こうとする。
その時ボソリと何かを呟いた。
「伊織ちゃん、ちょ、ちょっとまってよー!」
やよいちゃんは俺に向かってぺこりと頭を下げて彼女の後を追う。
「あー、まってよー」
その二人を追おうとする美希に声をかけた。
「美希」
「なーに?」
美希は足を止めて振り返った。
「いい友達が出来て、良かったな」
「うん!いってきまーす!」
笑顔で返事をした後、顔の横で手をニギニギとしてから二人の後を追う美希。
その後姿を横目に見ながら、自転車を漕ぎ出す。
彼女、水瀬さんの呟きは聞こえなかったけど、その口はこんな言葉を呟いたように見えた。
「分かってるじゃない」
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