観葉植物
与太郎の妄想独り言

2017-08

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うつくしいかおり、のぞむはる その13

4月第4週 その1?1

「あれ?今日は時雨はいないんだ」
先週から朝一番は必ず如月さんに声をかけている時雨の姿がなかった。
めずらしい事もあるもんだ。
「あ、おはよう。そうなの、今朝はまだ来てもいないの」
春香に言われて時雨の席に目をやると、確かに荷物もなかった。
「時雨に限って風邪ってこともないだろうし、何かあったのかな」
誰に言うともなく呟きながら席に向かおうとしたら、春香に呼び止められた。
「ちょっと高志クン、たまには千早ちゃん誘うの手伝ってよ」
その瞬間如月さんは、はっきりと嫌そうな顔をした。
春香と一緒に俺を見ていた菊地さんは気付かなかったようだった。
「そうそう。時雨とは違うアプローチもたまには見てみたいし」





「悪いけどパス。多分俺じゃ話をこじらせるだけだろうから」
「どういう意味?」
春香に聞かれたけど、適当にごまかす事にした。
まさか如月さんに嫌な顔をされたから、なんて言える訳ないし。
「何だか気分が乗らなくて。こんな時は余計な事を口走るからさ」
何か言いたそうな春香を尻目に、自分の席に向かった。
「おはよう」
めずらしく進から挨拶をしてきた。
月曜の朝から、めずらしい事が続くもんだ。
「おはよう。めずらしいな、そっちから挨拶してくるなんて」
「そう言うお前も、随分とめずらしいじゃないか?」
「俺が?どこがだよ」
「天海に手伝いを頼まれたのに、どうして逃げてきたんだ?」
「・・・・・・ピンポイントで急所狙いか。流石にお前はごまかせないか」
「付き合いが長いのは、ダテじゃないさ」
「高峰君、双海君が逃げてきたって、どういうこと?」
隣の萩原さんが、不思議そうに訊ねてきた。
「普段のコイツなら、あんな風に言い訳したりしないからさ。断る時は、ハッキリ断るヤツだからな」
「それを知ってて、それでも『逃げた』理由を聞くのか?」
念のため尋ねてみる。
進はほんの少し俺の顔を眺めると、
「いや、分かったからいい」
それだけ言って、それ以上何も言わずにいつもの作業にもどった。
確かに付き合いが長いのはダテじゃない。
進のことだから、分かってるだろうと思っていた。
訳が分からない風の萩原さんが何か言おうとしたが、
「オーッス!」
やかましいほどの声と共に、時雨が教室に入ってきた。
「っきゃああぁあぁ!」
「「うわあぁっ!?」」
時雨の声に驚いたのか、萩原さんは悲鳴を上げた。
その悲鳴に驚いた俺と時雨が、ほぼ同時に声を上げる。
「あ、ご、ごめんなさい。急に、その、大きな声がしたから、驚いちゃって・・・」
「いや、そんな謝るほどの事じゃないよ。たしかに驚いたけど」
萩原さんのフォローをしてから、教室の入り口で立ち止まっている時雨に声をかける。
「おい、時雨!お前が急に大声出すから、萩原さんが驚いちゃっただろ!って・・・なんだその荷物?」
時雨の肩には、明らかに普段とは違う大きなバッグが襷掛けされていた。
「何って、見りゃ分かるだろ。ってその前に、ゴメンネ萩原さん。驚かせちゃったみたいで」
「いや、私の方こそ、いくら驚いたからって、悲鳴なんかあげちゃって」
「俺が驚かすような事したのが悪かったんだから、萩原さんは気にしないでいいんだよ」
きっちりフォローをしてから、時雨は自分の机に荷物を置いた。
「で、そのカメラバッグは何事だよ?」
改めて時雨に訪ねてみた。
「分かってんじゃないか。こんな物もってくる理由なんて一つしかないだろ?」
「いや、持ってくる理由ってだからなん・・・・・・あぁ!今日からだっけ」
「全く、これだから部活やらない奴ってのは・・・」
新入生の部活解禁は今日からだった。
問答無用で帰宅部決定の俺には縁の無い話だったから、すっかり忘れていた。
それにしても。
「それにしたって何だよ、そのデカさは?」
見るからに本格的なカメラバッグは、授業道具の入ったスポーツバッグよりさらに一回り以上デカい。
「何言ってんだよ、ちょっとやろうと思ったらこんなもんだろ?」
「そんな訳あるかよ。プロのカメラマンぐらいじゃなきゃ、そんなバッグ持ち歩いてるの見たこと無いぞ」
「まぁ確かにデカくはあるんだけどな。まだレンズは増やす予定だし、大は小を兼ねるって言うからな」
「レンズを増やすって・・・」
「なるほど。本気でやってるだけはあるな」
進は理解したようだった。
「お!流石高峰は分かってくれるか」
「分かるけど、それにしても学校の部活に持ち出すようなものじゃないとは思うけどな」
「そうは言うけどよ、どんな活動をするのか分からないだろ?だから全部持ってくる事にしたんだよ」
「全部って、一体何が入ってるんだよ?」
俺にはいまいち理解できない。
「説明するより見たほうが早いな」
そう言うと、時雨はカメラバッグを開けて中身を見せてくれた。
「何だこれ!?凄いな」
「なるほど。中身を見るのは初めてだけど、これは確かに凄いな」
進までが席を立って覗き込みに来た。
「だろ?とは言っても新品は本体と付いてきた標準レンズだけで、後は中古やもらい物ばかりだけどな」
バッグの中身はカメラ本体の他にレンズが3本、メンテナンスキットやケーブル類等の小物など。
全体の八割ほどが埋まっていた。
「レンズだけでも三本・・・って、さっきまだ増やすとか言ってなかったか?」
「あぁ、そのつもりだ」
俺の問いにあっさり答えやがった。
開いた口が塞がらない。
一体何を撮るつもりだよ。
俺の様子を尻目に、進は時雨に話しかける。
「これだけ揃ってるなら、大概の写真は撮れるんじゃないのか?」
「まぁな。でも俺が一番撮りたい人物用のレンズがまだ無いんだ」
「やっぱり標準のレンズじゃ物たり無いって訳か」
「分かってるねぇ。そこは一番こだわってるところだしな、やっぱり譲れねぇよ」
取り出して見せていたレンズを戻しながら、時雨は進に向かって答えた。
バッグを片付けている時雨に向かって進が聞いた。
「しかし、今日は如月はいいのか?」
「・・・あぁ。今日だけはこっちを優先するって決めてたからな」
「本気なんだな、やっぱり」
「そりゃそうさ。如月さんの写真を撮るためにも、カメラだけは何よりも優先しないとな」
そう答えた後、俺に向かって声をかけてきた。
「双海にゃ分かんねぇだろうケドな」
「そうだな」
特に深く考えもせずに即答した。
「俺にはそこまで本気で打ち込んでるものなんて無いからな。うらやましいよ」
考えてみれば、俺には本気になって打ち込んだものなんて一つも無かった。
ただなんとなく毎日を過ごしてきただけだった。
だから時雨のカメラや写真に対する本気がうらやましかった。
「まったく、お前にゃ嫌味も通じないのかよ」
「なんだって?」
時雨の言葉に、思わず聞き返した。
「何でもねぇよ。ただ俺がバカだったってだけだ」
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