観葉植物
与太郎の妄想独り言

2017-10

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うつくしいかおり、のぞむはる その10

4月第3週 その1?1

項垂れた春香と時雨が、菊地さんに肩を叩かれながら戻って来た。
「なんだ、秒殺かよ?」
感覚的にはそんな感じだった。
月曜の昼休み、春香と時雨は菊地さんと連れ立って如月さんを昼食会に誘いに行った。
ところが如月さんは二言三言受け答えをすると、そのまま話も聞かずに教室を出て行った。
「『じあめ』ともあろうお人が、だらしない事で」
一応茶化してみた。
落ち込まれるくらいなら、怒らせてでもと思ったんだが、
「面目ない」
逆効果になってしまった。


「まぁまぁ、そんなに落ち込まなくても。最初から成功するわけないんだし」
菊地さんがフォローに入る。
「そんなに簡単に成功されたら、私の三年間の苦労は全くの無駄だったって事になっちゃうじゃない」
「そうよね。一回失敗したくらいで落ち込んでいられないよね」
胸元で左手をギュッと握って、笑顔で答える春香。
「それにしても秒殺とは、一体何を話し掛けたんだ?」
対して時雨はガックリと項垂れたままだ。
覗き込むように話しかけたところを見ると、流石に進も気になったらしい。
「いや、歌の事だけど」
時雨がボソリと答えた。
「歌の事って、どんな事?」
萩原さんが聞き返す。
「ただ『合唱やってるって聞いたから、どのパートをやってたのか』とか、『話が聞きたいな』とか・・・」
「それで何て言われたんだよ」
「『歌の事を何も知らない人に、一から教えてるほど暇じゃない』って、ばっさり・・・」
進の問い掛けに、力なく答える時雨だった。
「一刀両断って、お前それじゃ瞬殺じゃないか」
流石に俺もかわいそうになってきた。
春香が続いて話し始める。
「そうなの。私なんか声をかける前に席を立たれちゃったし、フォローのしようも無かったのよね」
「まぁ最初なんてあんなもんだって。メゲズにまた声を掛けていこうよ」
菊地さんはカラカラと笑顔で時雨を励ました。
しかし時雨は、大した反応も見せずに席について、昼飯のパンと牛乳をコンビニの袋から引き摺り出した。
それが合図のように皆も弁当の用意をする。
準備が整った頃を見計らったように、時雨が顔を上げた。
「さて、それじゃぁ聞かせてもらおうか?」
俺を睨むような目で、時雨に言われた。
「?何をだよ」
「とぼけるな。菊地さんも萩原さんも、高峰だって聞きたいよなぁ?」
菊地さんも萩原さんも、気圧された様に、それでも頷いた。
でも何故春香には聞かないんだ?
「俺は別にどうでもいいけど。ただ確かに、気にならないと言えば嘘にはなるかな」
そう言って俺を眺める進。
「一体何の話だよ?」
「まだ言うか。この週末に一体何があった?」
「だから、何が・・・」
「何がじゃねぇ!お前と天海さん、いつから名前で呼び合う様な仲になったのかと聞いてるんだ!」
「「はい?」」
時雨の台詞に、俺と春香がほぼ同時に反応した。
「まさかお前ら、人に言えないようなことに・・・」
「ちょっと!いきなり何言い出すのよ!」
春香が叫んだ。
その顔は少々赤くなっていた。
「なんだ。そんな事か。」
俺はワザと、少々ウンザリとした口調で答える。
それが気に障ったんだろう。
時雨は更に強い調子で突っ込んでくる。
「そんな事じゃねぇ!先週末までは『天海さん』『双海クン』と呼び合ってただろ?
 それがたった2日の間に『高志クン』に、あまつさえ『春香』なんて呼び捨てにして・・・!」
「何だ、羨ましいのか?男の嫉妬は醜いぞ」
ワザと挑発してみた。
「くっ!う、羨ましくなんか・・・・・・あるぞ!ちくしょーっ!」
左腕に目元をこすり付けて、『ウワーーーーーン!』とばかりに泣きまねをした。
「で、でも本当に何があったの?春香の様子を見てても、呼び方以外何も変わったところが見当たらないんだけど」
「高志もな。恐らくは『何もなかった』んだろうけど」
萩原さんの疑問に答えるように、進が続ける。
それを聞いた時雨は、
「それじゃ何か?この二人は何もなかったにも拘らず、呼び方だけが親しげになったってのかよ」
今にも泣き出しそうな声で聞いてきた。
だから言ってやった。
「うん、そう」
時雨は、そのまま力なく机に突っ伏してしまった。
「そんなバカな・・・」
「時雨、諦めろ。高志はこう言うヤツなんだ」
進がダメ押しをする。
「納得・・・できるかぁ!」
「ねぇ高志クン、流石に説明してあげようよ?」
さっきからケラケラと笑っていた春香に言われた。
コレだけ面白い反応を見せてもらった事だし、
「そうだね」
春香と二人で、土曜の顛末を皆に聞かせた。
「・・・なるほど、美希ちゃん絡みか」
進は納得した。
まぁコイツは美希の事も知ってるから、当たり前だけど。
「そう言うこと」
だから、進にはこの一言だけで済んだ。
菊地さんと萩原さんは、春香の楽しそうな話に一緒に盛り上がっている。
「双海、お前この期に及んで更に、俺の知らない幼馴染の女の子が居るだと?」
ゆらりと身体を起こして、時雨が聞いてくる。
「もう勘弁ならねぇ!テメェ、その美希ちゃん今度紹介しろ!」
「えぇー?変態に紹介するのはイヤだなぁ」
ワザとらしくイヤイヤ言ってやる。
「ねぇ双海、よかったら私にも美希さん紹介してくれないかなぁ」
横から菊地さんに頼まれた。
「あぁ、もちろんオッケーだよ。萩原さんも一緒にどう?」
「え?わ、私もいいの?・・・でも、なんだかとっても素敵な人みたいだし、お願いしてもいい、かな」
「もちろん、喜んで」
こちらには笑顔で対応する。
もちろん時雨に見えるように。
「あっ!双海、イヤ双海さん!俺も頼むって!じゃなくて・・・お願いします!この通り!」
手を合わせて机に突っ伏して頼み込んでくる。
「でも『じあめ』じゃ嫌がれそうだしなぁ。どーしよっかなー」
「分かったって、大人しくするから!なっ?この通り!」
「・・・・・・分かったよ」
別に紹介するくらいどうってことないんだけど、つい意地の悪い事をしてしまう。
我ながら悪い性格してるな。
と思ったら、時雨は俺の手を取って、
「ありがとう、双海クン!」
と潤む瞳で感謝してきた。
「うわっ!大げさなんだよ、気持ち悪い」
思い切り手を振り解いた。
コイツにはさっき程度のじゃ嫌がらせにもならないのかもしれない。
「でも、せっかくの幼馴染なのに、どうして一緒の学校に入らなかったの?」
萩原さんに問い掛けられた。
思わず春香と顔を見合わせた。
進が怪訝な様子で、俺達を見ている。
「それは・・・本人に直接聞いてもらおうかな」
「そうね。その方が絶対いいよね」
「何か理由があるんだ」
俺と春香の思わせぶりな言葉に、菊地さんが聞いてきた。
「確かに直接会った方がいいな。それが一番手っ取り早いだろうし」
納得した様子で答えたのは進だった。
コイツは美希の事を知ってるからな。
「そっかー、女の子はミステリアスな方が会った時の驚きも格別だしな。楽しみにさせてもらうぜ」
「期待は裏切らないわよ」
時雨の台詞に、春香が悪戯っぽく答えた。
でも、どちらかと言うと裏切るような気もするけど。
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