観葉植物
与太郎の妄想独り言

2017-10

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うつくしいかおり、のぞむはる その8

4月第2週 その2?2

天海さんに連れて行かれた店は、表通りからちょっと外れたところにある小さなレストランだった。
派手めな一軒家のような佇まいは、気をつけなければ見落としてしまいそうな雰囲気だ。
「こんな店がこんな所にあったなんて、知らなかったなぁ」
「でしょう?場所のせいなんだろうけど、案外知られて無いの。でも料理はどれもおいしいのよ。値段も手頃だし。
 それに、この雰囲気なら双海クンみたいな男の人でも普通に入れるでしょ?」
「確かに。気を使ってもらって恐縮です」
「そんなの気にしないで。ご飯はみんなが楽しく食べれなきゃおいしく無いでしょ?」
天海さんは食事に何か思い入れでもあるんだろうか?
おかげで気取らずに昼飯を楽しめそうだ。
実際オシャレな店とかに連れて行かれたらどうしようとか思ったんだけど。
この店はどっちかと言えば落ち着いた雰囲気の店で、男一人でフラッと入っても違和感は無い。
メニューも普通のレストランと変わらなかった。
唯一違うといえば、ランチには必ずデザートが付く、くらいだ。



「ところで、『美希さん』でいいかしら」
「うん、いいけど」
天海さんが美希に声をかけた。
美希の返事は素っ気無い。
「美希さん、うちの学校で見たこと無いよね。それだけ綺麗なロングヘアなら目立つから、学校にいたらすぐ分かるもの。どこの高校に行ってるの?」
「・・・ミキ、高校生じゃないよ」
そう言うと美希は悪戯っぽくニヤリと笑った。
「高校生じゃない?」
天海さんはその意味がワカラナイ。
「ミキは中学二年になったばっかりだもん。まだ13歳だよ」
「・・・えぇーっ!?」
天海さんは大キナ声ヲあげて思わずタチアガッタ。
アワテテ周りに頭を下げナガラ座りナオス。
美希ハ、ニヤニヤと笑ってイル。
「中学生・・・13歳って嘘でしょう!?」
「嘘なんかじゃないよ。ホントのことだもん」
「そんな、だって・・・・・・」
天海サンノ視線ガ自分ノ胸元ト美希ノ胸ヲ往復スル。
美希ハワザト胸ヲ張ッテイル。
「ちょっと、双海クン・・・?」
俺ハ・・・・・・。
さっきからテーブルに突っ伏して、必死に笑い声を噛み殺していた。
美希と一緒だと毎度の事だが、そうだよな。
天海さんにしてみれば、俺と一緒にいれば高校生だと思うのが自然だもんな。
美希のスタイルは中学生のそれじゃない。
背は天海さんとほぼ同じかな?
天海さんも、どちらかと言えばスタイルは人並み以上だと思う。
しかし細くしなやかな全体のラインにはっきりふくよかな胸は、恐らく実際のサイズよりも大きく見えてるんじゃないか。
そりゃ天海さんじゃなくても信じられないだろう事は、俺も良く知ってる。
「・・・・・・本当だよ」
やっとの思いで呼吸を整えて、天海さんの質問に答えた。
「嘘でも冗談でもない。正真正銘の中学2年生なんだ」
「そんなぁ・・・」
改めて天海さんの視線が、美希の胸に注がれる。
美希はと言えば、ふんぞり返る勢いで胸を強調している。
「美希、その格好はさすがに恥ずかしいからやめようよ」
「ミキは別に恥ずかしくなんてないよ?」
「いや、俺が恥ずかしいから。な?」
「はーい」
渋々座りなおした美希だが、それでも背筋をピンと張って胸を強調するように座っている。
「でもどうして?」
放心状態から開放された天海さんが聞いてきた。
「何が?」
「いくら幼馴染だからって、歳がこれだけ違うのにどうしてそんなに仲良しでいられるの?」
俺は美希を見た。
美希は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして俺を見ている。
「いやぁ普通じゃない?そんな事考えたこともなかったけど」
「普通じゃないわよ。私も近所に歳の違う子がいて、小さな頃は一緒に遊んだこともあったけど幼稚園や小学校に入ったらもうそんな事なくなっちゃったもの。ねぇ、どうして?」
そんな事言われてもなぁ。
でも確かに俺たちの周りにも、歳が違う幼馴染がいる奴なんていないな。
「う?ん、あえて言うなら出会いが違った、ってとこかなぁ」
「出会いが?」
「うん。あ、ちょっと待って」
「お待たせ致しました」
料理が丁度運ばれてきた。
全ての料理が並んだところで、それぞれが最初の一口を食べた。
「あぁ、こりゃウマイな」
「ホントだ、すっごくオイシイ」
「でしょう?ビックリするほどじゃないかも知れないけど」
天海さんは、まるで自分のことを褒められたように喜んだ。
「それで、出会いが違うって?」
「あぁ、大した事じゃないとは思うけど。美希の家は俺たちが子供の頃に引っ越して来たんだ」
「引っ越して来た?」
「うん、俺の家の斜向かいなんだけど。美希の家が引っ越して来た日、俺が様子を見に外に出たら
 ちょうど引越し中の美希の家の玄関先に、女の子が二人居たんだ。」
「二人?」
「うん。ミキね、お姉ちゃんがいるんだ。五つか六つ年上なんだけど」
「五つか六つって・・・」
「五つだよ。そのお姉ちゃんが、あの頃まだ3歳だった美希に何かをきつく言い含めてたんだ。で、言われた美希が頷いたらそのまま家の中に入っちゃったんだ。美希一人を残してさ」
「そんな小さな子を一人だけ残して?」
「そう。で、残った美希はそのままポツンと佇んでたんだ。ホントに何もしないで。
 で、気が付いたら美希に声をかけてたんだ。『なにしてるの?』って。そしたら美希が『ここにいなさいっていわれた』って。だから『じゃあここでいっしょにあそばない?』って誘ったんだ。そしたら美希が俺を見て頷いてさ」
「へぇー、よく声がかけられたね」
「そうだね。その後美希と遊んでたらおばさんが慌てて出てきて。俺を見て驚いてね」
「それはそうよね。小さな子をほっといたと思ったら、知らない子と遊んでたんだもの」
「でもちゃんと斜向かいの家の子供だって自己紹介したら安心したみたいで、このまま美希と遊んで欲しいって頼まれたんだ。
 後は家も近いし、美希の最初の友達だからほぼ毎日一緒に遊んで。で、そのまま今に至るってとこかな」
「ふーん。じゃあ美希さんのお姉さんとも仲良しなんだ?」
「いや、美希のお姉さんと俺はほとんど付き合いないな」
「えー、どうして?美希さんとは一緒に買い物に出かけるほど仲良しなのに」
「引っ越してきたばかりの頃は、美希のお姉さんには避けられてたしなぁ。俺たち『子供』の相手がイヤだったらしくて」
「そうなんだ」
「でもミキにはとっても優しいお姉ちゃんなんだよ」
「そうなの?なんだかさっきの双海クンの話とはイメージが違うんだけど」
「あれ?そう言えばミキもなんだか違う気がしてきたかも」
美希が混乱し始めた。
無理も無いことだけど。
「それは、俺が美希と毎日のように遊ぶようになったから、なんだってさ」
「「えっ?」」
二人が同時に俺を見た。
「美希のお姉さんから直接言われたんだ。俺が美希の相手をするようになって自分の時間が持てるようになったって。そのおかげで余裕が持てるようになって、美希に優しくなれるようになったんだって。だから俺に感謝してるって言われたよ」
「ミキそんな話知らなかった。いつ言われたの?」
「先月、お姉さんが出発する2・3日前かな。普段挨拶程度しかしない美希のお姉さんに急に呼び出されてさ、何事かと思ったんだ」
「ちょっと待って。お姉さんが『出発する前』ってどういうこと?どこかに行っちゃったの?」
「あぁ。美希のお姉さんは遠くの大学に入学したから。いまは大学の近くで下宿生活してるんだ」
「お姉ちゃん、そんなことミキに一つも言わなかった」
「恥ずかしかったんだよ、きっと。本当は美希に優しくしたいのに、勉強もしなきゃならない、友達とも遊びたい、家の手伝いもある。そんな中、知らないところに引っ越してきて。なにより『お姉ちゃん』だから我慢しなきゃならない。相当なストレスだったみたいだよ?小学校1・2年の頃には。だからついつい美希には辛く当たってしまって、でも本当は優しくしてあげたくて。そんな時だったんだって、俺が現れたのは。高志君だって『お兄ちゃん』なのにってさ、済まながられて大変だったよ」
「双海クンにも、兄弟がいるの?」
「あぁ、双子の妹がね」
「亜美と真美って言って、とってもカワイイんだよ」
「双子!?妹さんの面倒を見てその上、美希さんの面倒まで見てたの?」
「いや、妹達の面倒はあまり見させてもらえてなかったんだ」
「見させてもらえてなかった?」
「そう。双子ってだけで手間や苦労は倍以上になってね、両親は妹達だけで一杯一杯でさ。俺は適当に相手されて終わり。
 でもその事自体は別に気にはならなかった。それよりも妹達の相手をさせてもらえない事の方が辛かったから」
「どうしてさせてもらえなかったの?」
「簡単だよ。俺も小さかったから。当たり前だけど俺一人じゃ双子を同時に面倒見るなんて出来なかったから」
「あ・・・」
「一人ずつ面倒を見るんじゃ、かえって邪魔になるんだ。だから母さんが一人でどうしようもない時に、どっちかを一時的に見るだけ。自分が子供だってことが悔しかった。・・・あぁ、だから俺、美希に声をかけたんだ」
「それってどういうこと?」
今度は美希が不思議そうに聞いてきた。
「妹達の面倒を見たいのに出来ない事が、俺にとってかなりのストレスだったんだな。そんなときに美希を見て。あのポツンと佇んでる後姿を見てたら、『面倒を見てあげたい!』って思っちゃったんだよ。すごく寂しそうな後姿だったから。そう言えば美希、最初は遊んでても全然笑ってくれなかったな」
「えっ、そうだっけ?ミキもよくは憶えて無いけど。でも楽しかったって思ってた」
「でも最初は何やってもちっとも笑ってくれなくってさ。とにかく笑わせようって色々やったんだぞ。
 そのうちに何でだったかは俺も憶えてないけど、とにかく笑ってくれて。もう嬉しくなって、その後も一生懸命に笑わせてさ」
「そーだったんだ。ミキ全然憶えてないや」
「そりゃそうだろ、いくらなんでも憶えてるには小さすぎだよ」
「ねぇ、そんなに美希さんとばかり一緒にいたのなら、妹さんたちの面倒はどうでも良くなっちゃったの?」
「そんな事無いよ!高志クンは亜美と真美の事とっても大事にしてたっくさん面倒見てあげてるんだから!すっごく優しいお兄ちゃんなんだから!」
いきなり美希の語気が荒くなった。
そこまで強く言わなくても分かると思うけど。
「あ、ご、ごめんなさい」
「いや、気にしなくていいよ。美希も、ちょっと言い過ぎなんじゃないか?」
「だって、高志クンのこと悪く言うから」
「天海さんは悪気があって言った訳じゃないよ。で妹達だけど、美希が来てくれたおかげで面倒見させてもらえるようになったんだ」
「美希さんが来てくれたから?でも一人で三人の面倒見るなんて大人でも大変だと思うけど」
「そうだね。でも二人の面倒を二人で見ることは出来るだろ?」
「あっ!」
「そう、美希が家に来て俺と一緒に妹たちの面倒を見てくれるようになったんだ。もちろん美希はまだ小さかったから一人の面倒もまともに見れなかったけど、そのくらいのフォローならもう一人を見ながらの俺でも出来たから」
「そっかぁ、だから今でも美希さんとは仲良しなんだ」
「そんなところかな。妹達にとっても美希は『友達』って感覚らしいしね」
「ふ?ん、羨ましいなぁ」
「へ?」
思わず頓狂な声を出してしまった。
「羨ましいって、なにが?」
「私一人っ子なの。だから兄弟がいるのってすごく憧れてて。
 兄弟のいる友達の話なんか聞いてると、毎日はしゃいだりケンカしたり、凄く楽しそうで羨ましくなっちゃうのよ」
「ふーん。でももう羨ましがらなくてもいいね」
「えっ?」
美希の一言に、天海さんが頓狂な声を出した
「だってミキたちもう友達でしょ?だったらミキが妹みたいなモノじゃないの?」
目を丸くして美希を見つめる天海さん。
美希はきょとんとして、天海さんに聞いた。
「違うの?」
美希にそう言われて、天海さんはゆっくりと俺を見る。
「違うの?」
俺はワザと美希の台詞を繰り返す。
笑顔で。
「ありがとう、すっごい嬉しい!」
天海さんの顔がほころんだ。
眩しいくらいの笑顔。
つられて美希も笑顔になる。
「ねぇ、友達なんだからこれからは『春香さん』って呼んでもいいよね?」
「そんな、『春香』って呼び捨てでいいわよ。友達なんだし」
「えっ、いいの呼び捨てで?」
「もっちろん!その代わり、私も『美希』って呼び捨てにしちゃうんだから、友達なんだもん」
「もっちろん!じゃ、これから仲良くしようね、春香」
「こちらこそ。よろしくね、美希」
最高の笑顔で手を取り合っている美希と天海さん。
おかげで分かった、天海さんが人を食事に誘う理由が。
家族と言っても両親しかいないんじゃ、場合によっては一人で食事を取る事もあるんだろう。
いつも最低でも亜美と真美のいる俺には、一人で食べる食事の味気なさは想像できない。
色々あるけど、それがどれだけ恵まれている事なのかなんて考えた事もなかった。
今日も言ってたもんな、『一人で食べる食事は味気ない』って。
「ねぇ双海クン?」
美希とはしゃいでいた天海さんが、俺に聞いてきた。
「せっかくだから、双海クンも名前で呼んじゃってもいいかな?」
「俺も?まぁそれは別に構わないけど」
「やったぁ!こんな素敵な友達を紹介してくれたんだから、やっぱり呼び方もそれに合わせなきゃね」
「と言う事は、もしかして俺も天海さんの事は名前で呼んでほしい、と言う意味なのかな?」
「それはそうよ。これからは美希と同じように『春香』って呼んでね」
「いきなり呼び捨て?結構ハードル高いなぁ」
「そぉ?だって美希の事は呼び捨てにしてるじゃない」
「そーだよ。ミキの事は呼び捨てにして春香は天海さんとかじゃ、春香は高志クンの友達じゃないみたいだよ?」
美希まで天海さんの肩を持ち始めた。
言われて見れば確かにそうだよなぁ。
「そうだな、分かった。それじゃ改めてコレからよろしく『春香』」
「こちらこそヨロシクね、『高志クン』!」
改めて俺は春香と握手をした。
学校で初めて交わしたときよりもはっきり強い握手を。
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