観葉植物
与太郎の妄想独り言

2017-08

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40秒の壁を越えて ?宇宙開発四方山話

昨日、11日から14日までの四日間。
札幌市青少年科学館に、「はやぶさ」のカプセルがやってきました。
あらかじめ日程は知っていましたので、本日強引に休みを取って観てきました。
前面ヒートシールドだけはレプリカでしたけれど。
本物だけが持つ説得力。
その特有の雰囲気。
正に眼福でした。

今回の宇宙開発四方山話は久しぶりに「はやぶさ」に関する話題でございます。

本文はいつも通りの格納先にて、ご用意しております。
特に動画紹介もないただの長文ではありますが、宜しければお付き合いください。



実は、当たり前の事だと思っていました。








2010年6月13日、日本時間22時51分。
予定を大幅に超える7年以上の長旅の末、「はやぶさ」は地球に帰還しました。
あの夜の「はやぶさ」が燃え尽きて行く様子は、いまだに鮮明に覚えています。
その「はやぶさ」を先導するように。
一筋の光跡が燃え尽きる事無く、翔け抜けて行きました。
「はやぶさ」が全てを託した、リエントリーカプセルの姿でした。
「イトカワ」で採取したサンプルを納めた、「はやぶさ」のおつかいの成果です。
あの時は期待と不安の入り混じった、形容のしがたい想いを抱いていました。
カプセルは間違いなく分離されるだろうか?
予定通りにパラシュートは開くだろうか?
ビーコンの発信機能は起動するだろうか?
カプセルは無事に見つかるだろうか?
「はやぶさ」の帰還そのものの無事を祈りながら、そんな事をずっと考えていました。
でも、一つ失念していた事がありました。

『カプセルは大気圏再突入の際に燃え尽きる事無く、無事に帰還してくるだろうか?』という事を。

ここで、大気圏再突入の際に発生する熱の問題を簡単に説明しておきます。
再突入の際に発生する熱は、大気との「摩擦熱」ではありません。
地球帰還時に超高速で大気圏に再突入すると、強烈に前方の空気を圧縮します。
その圧縮された空気中の分子は激しくぶつかり合って、持っていた分子の運動エネルギーが熱になります。
これを「空力加熱」と呼ぶそうです。
ちなみにスペースシャトルの速度は8?/s弱で、再突入時のシャトル底面の温度はおおよそ1,000℃。
シャトル先端部では、おおよそ1,600℃に達します。
スペースシャトルはこの状態を含み、15?20分程掛けてゆっくり減速して行きます。
これは、激しい減速Gで搭乗員が潰れてしまわないようにするためでもあります。
その後濃い大気をその機体にはらみ、滑空しながら目的地に着陸します。
しかし「はやぶさ」の大気圏再突入時の速度はおおよそ12km/s。
このときカプセル表面の気体温度は15,000℃にも達します。
更に人が乗っている訳では無いので、再突入角度も深く、減速Gも大変激しくなります。
最も激しい減速Gと熱に晒される高度80km?40kmを通過する時間は、僅かに40秒。
これほどまでに激しい大気圏再突入を行い、地上に帰還するのは並大抵の事ではありません。
しかしそのために用意された物ですから、それが当たり前だと信じていました。
カプセルが燃え尽きてしまう可能性なんて考えたこともありませんでした。
しかし日本の宇宙開発に於いて、大気圏再突入はこれが二度目。
そしてこれほど激しい再突入は、もちろん初めての経験でした。

「はやぶさ」が「イトカワ」で採取したサンプルを納める「サンプルコンテナ」。
これを大気圏再突入用の「リエントリーカプセル」に納めたあと、最後にある事をします。
それは「蓋を閉める」こと。
これには「密閉する」という意味があります。
これが不完全だと、再突入の際の高熱がカプセル内に侵入してしまいます。
最悪の場合には、内部に侵入した超高温のプラズマガスで、カプセル自体が破裂してしまいます。
これはカプセル製造工程で、作業内容が不完全であった場合でも起こり得る結果です。
設計は完璧でも、自分達の仕事にどんなに自信があっても。
カプセル担当の関係者のその不安は、最後まで決して拭いきれなかったそうです。
事実、「はやぶさ」の再突入の際の閃光を目の当たりにした時。
ある関係者は『全て終わった・・・』と、呆然としたそうです。
カプセルも爆発してしまった。
最後の最後で、ミッションを「失敗」にしてしまったと。
でも決して消える事無く、一筋の光跡を残して翔び続ける光点がありました。
そしてカプセルからのビーコン入感の報が、探査班全てから入ってきました。
カプセルは、「イトカワ」のサンプルを無事地上まで届けてくれました。
全ての機能は設計通り正常に作動して、完璧な成果を上げたんです。

こんな話を聞きました。
2009年11月9日。
「はやぶさ」のイオンエンジンの一基が寿命を迎え、地球帰還が絶望的になった時。
あるカプセル担当者は、こんなことを思ったそうです。
『エンジン担当が、ババを引いてくれた』と。
日本の宇宙開発は、常に一発勝負です。
理由には様々な要因が絡んでいますので、一概にこれに起因すると言える物はありません。
それでも一番重要なのは、周囲の「無関心」・「無理解」ではないかと思います。
どれほど重要な内容であっても、その質には全く目もくれない。
目に見える予算や結果ばかりを重んじるあまり、失敗には異常なほど敏感に反応する。
結果として失敗した時には、原因と責任の所在には執拗に拘る。
そのくせ事前に検証や実験をしようにも、予算を回してもらえない。
最悪の結果となった時に浴びせられる批判・非難は、並大抵のものではありません。
その時には、何処の担当がその的にされるのか。
これは日本の宇宙開発には付いて回る、まるでババ抜きの様なものです。
「はやぶさ」の地球帰還に目途が立った時から、カプセル担当者は眠れない日々を過ごしたそうです。
万が一カプセルが正常に機能しなかったら。
それこそ大気圏で燃え尽きてしまったら。
それはどれ程のプレッシャーだったのでしょう。
そんな折り、イオンエンジンが寿命を迎えて地球帰還のための推力が足りなくなったと。
そんな話が聞こえてきた時。
虚脱感と共に感じた安堵感。
「はやぶさ」の失敗は、自分達の責任ではなくなった、と。
本当に、肩の荷がおりたような気がしたそうです。
これは成功と満点の「はやぶさ」に携わった関係者だからこそ、口にできた事なのでしょう。
「予算がたりない」・「人員がたりない」・「時間がたりない」。
そんな目に見える以上に、関係者たちを苦しめている物。
それがメンタル面での「プレッシャー」です。
世界の最先端を歩んでいる以上、それは必ず付いて回る物ではあります。
にも拘らず。
そこをフォローするどころか、逆に傷口に塩を擦り込むような事しかしない。
そんな環境でも、これだけの結果を出し続ける日本の宇宙開発。
これを世界に誇らずに、なにが「技術立国」なのか。
「はやぶさ」帰還当日、取材に来ていた海外のマスコミ関係者からJAXAスタッフに何度も聞かれた事。

『こんな世紀の瞬間に何故、
日本のマスコミは取材に来ないのか?』


この質問は、そのまま日本の底の浅さをを表しています。
世界中が注目し、感動と共に迎えてくれた「はやぶさ」を。
母国である日本が、一番関心を持っていなかったという事実。
これには正直、情けなくなったりもしました。
でもその後、地球に帰還したカプセルの実物が一般公開された時。
相模原には長蛇の列が生まれました。
「はやぶさのカプセルを、一目見よう」と集まって来た人たちでした。
炎天下の中、何時間も待たされながら。
それでも大きな混乱もなく、僅か二日間の一般公開は大盛況のまま終了しました。
この時は、ちょっと感動しました。
日本にもこんなにも沢山の人達が、「はやぶさ」に関心を持ってくれている。
そんな当たり前の事が嬉しくて。
それから「はやぶさ」のカプセルの全国行脚が始まり、ついに俺もその一人になれる日が来ました。
思いの外冷静な目で見ている自分に、少し驚きもしました。
でも本物をこの目にできる感動は、何物にも代えがたいモノです。
ただ予想していたよりも、来館者は少なかったような気がしないでもありません。
なにせ混みあっていたのは午前中だけでしたし。
おかげで午後から二回目の観覧に挑戦した所、並ぶことも無く普通に見れたぐらいですから。
まぁ雪まつり期間中と思えば、納得できない訳でもありませんけれど。

最後に、これは完全に余談ですが。
カプセルの回収地点は、計算上の落着予定地点から1kmほどしか離れていなかったそうです。
「はやぶさ」は姿勢制御機能のほぼ全てが、機能停止していたにも拘らず。
そこまで精密な誘導が出来るのは、恐らく日本だけなのではないでしょうか。
そのおかげで「ヒートシールド」も、難なく発見することが出来たんです。
こちらはカプセルと違って、ビーコンなどを出す訳ではありません。
基本的には「この辺りだ!」という、勘だよりなのですが。
こちらもやはり、計算上の落着予想地点のそばにあったそうです。
そうでなければ、帰還翌日に見つかる様な物では無い筈ですから。

改めて「はやぶさ」には、魂が宿っていたと感じずにはいられない一日でした。
将来、時間と金銭的な余裕が出来たなら。
是非この目で、本物の「M-3S」と「M-?」の二台の固体燃料ロケットを見てみたいと思っています。
その頃には新世代の固体燃料ロケットが、探査機を打ち上げるのが当たり前になっている。
そんな時代になっていると、いいな。

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