観葉植物
与太郎の妄想独り言

2017-05

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うつくしいかおり、のぞむはる その16

5月第2週 その1?2

11時になる少し前、俺の携帯が震えた。
そう言えば音を切ってたのを忘れてた。
メールの着信を知らせる携帯を開いて、内容を確認してから美希に声を掛ける。
「そろそろ休憩にしないか?」
「やったー!そーしよー」
「ちょっと、まだ一時間しか経ってないじゃない」
水瀬さんが不満を漏らした。
気持ちは分かるんだけどね。
「俺達はいいけど、これ以上は美希が持たないからさ」
「いくらなんでも甘やかしすぎじゃないの?」
「伊織ちゃん、たまに美希に合わせてのんびりやってみない?」
やよいちゃんがフォローに入ってくれた。
まだ納得はしてくれてはいないけど、それでも渋々ながら同意してくれた。
「それじゃお茶入れてくるから、美希手伝って」
「はーいって、ミキがお母さんと入れてくるから、高志クンも座ってていいよ?」
「いいからいいから。二人でやっちゃおう」
立ち上がった美希の背を押すようにして、強引に一緒に行く。
「二人はこのまま待っててね」
そう言って有無も言わさず美希と一緒に部屋を出る。
「ねぇ、どーしたの?」
一階に下りたところで、堪らず美希が聞いてきた。
「実はさ・・・」
さっきのメールを美希に見せた。
「えっ!」
「と言うわけで、ちょっと行ってくるから。多分15分くらいで帰ってこれると思う」
「ホントなの?でもどーして?」
まだ信じられないと言った感じだ。
「だって前に約束してただろ?話したらもうノリノリで」
「ホントなんだね。やったー!」
「美希のお母さんには話してあるから、俺が戻ってくるまでにお茶の準備、ヨロシク」
「まっかせて!」
ウキウキとリビングに消えていく美希を見てから、俺は玄関を出る。
ゆっくり歩いても、往復で15分は掛からないだろう。





「おまたせー!」
美希がティーカップの載ったトレーを持って部屋に入る。
続いて俺が、ティーポットその他を持って部屋に入る。
「悪いけど、もう一人お邪魔させてもらうよ」
きょとんとしてる二人を尻目に、後ろについてきた『もう一人』を部屋に促す。
「ほら遠慮しないで、入った入った」
「ホントにいいかなぁ、・・・おじゃましまーす」
「遠慮なんかしてないで、ホラ入ってよ春香」
美希に言われてようやく部屋の中に入って来たのは、春香だ。
「ちょっと先に紹介させてもらうよ。俺のクラスメートの『天海春香』。今日の勉強会に差し入れを持って来てくれました」
「どーも初めまして。気軽に春香って呼んでくれればいいから、よろしくね」
春香は何だかちょっと恥ずかしそうに自己紹介をした。
美希の友達とはいえ、年下の相手は慣れないんだろうか。
やよいちゃんと水瀬さんの紹介は俺の方からした。
美希の任せると、水瀬さんを『デコちゃん』と紹介しそうで。
「じゃあこの前から美希が言ってた素敵な人って、この人なんだ」
満面の笑顔で春香を見てるやよいちゃん。
照れた様子で、
「ヤダなぁ素敵だなんて。ちょっと美希、どんな話したのよ」
と美希に詰め寄っていく。
満更でもなさそうなんだけど。
「どんなって、今やよいっちが言った通りだよ?」
しれっと言われて、春香の顔が真っ赤になる。
「ちょっと美希ってば、恥ずかしいじゃない!」
言われた美希は、小首をかしげてきょとんとしている。
何のことだか分からないと言わんばかりだ。
「それで?差し入れとか言ってたけど、どこかの店で何かお菓子でも買ってきた、とでも言うの?」
「え?いや、あの、私の手作りなんだけどクッキーを焼いて来たの」
春香は手に持っている大きな手提げ袋から、紙袋を取り出した。
口を開けると、中いっぱいにクッキーが入っている。
「「わーっ!」」
美希とやよいちゃんは中を覗き込んで歓声をあげた。
早速用意しておいた皿に中身をあける。
「美希とはケーキって約束してたんだけど、ちょっと予定を変更して。コレなら皆で気軽に摘めるかなって思って」
「ありがとー春香。いっただっきまーす!」
言うが早いか、美希は最初の一つを口に入れた。
「・・・うん、おいしい!」
「ホント?良かった。今日のは自信作なんだけど、やっぱりそう言ってもらうまでは不安なのよね。
 ホラ、皆も遠慮してないで食べて食べて」
「ハーイ。いただきまーす」
「それじゃお言葉に甘えて俺も一つ」
やよいちゃんと俺も一つずつ口に運ぶ。
「わーっ、おいしぃですぅ!」
「うまいうまい」
美希も含めて三人が満面の笑顔で春香を見る。
春香はすごく嬉しそうだ。
ところが横を向いたその顔がとたんに不安げになった。
「・・・・・・」
見ると水瀬さんが無言でクッキーを食べていた。
手にしたクッキーを半分だけ食べて、残った半分を観察している。
「・・・まぁまぁね」
ぽつりと、それだけ言った。
言われた春香の表情が、更に曇る。
やっぱりお嬢様には庶民の味は合わないのか。
「伊織ちゃん・・・」
やよいちゃんが話しかけた。
「何?」
「せっかく作ってきてくれたのに、そんな言い方はひどいんじゃ・・・」
「何でよ?別にマズイって言ったわけじゃないでしょ。確かに私が普段食べてるものに比べれば味は落ちるわよ。
 でも手作りなんでしょ、これ?それでコレなら上出来よ。化学調味料の類も使ってないみたいだし」
水瀬さんは、春香を見る。
「コレなら安心して食べられるわ。工場で大量生産してる『有名店』の物なんかよりもね」
曇っていた春香の表情が明るくなった。
「ありがとう」
春香にお礼を言われて、水瀬さんは鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
その手には二つ目のクッキーを持っている。
「でもホントにおいしいです、このクッキー。妹や弟達にも食べさせてあげたいです」
「じゃあ、少しお土産に持って帰る?」
やよいちゃんの台詞に即答する春香。
「実は張り切りすぎちゃって、たくさん作りすぎちゃったのよね」
先ほどの手提げ袋から、小袋を出し始めた。
全部で・・・・・・さっき出したのも含めて13個!?
「「わーーーっ、すっごーい!」」
「・・・作り過ぎちゃったってレベルじゃないわよ、コレ」
「こんなに作るつもりはなかったんだけど、久しぶりに作ったから楽しくなっちゃって。
 気が付いたらこんなになってたの。良かったら少し持って帰ってくれないかな?」
「仕方ないわね・・・」
気のない言い方をしながら、袋を二つ掴む水瀬さん。
春香は黙ってニコニコと見ているだけだ。
「あのー、ウチ家族が多いんで多めにもらってもいいですか?」
「もちろん!じゃあ、ハイ」
袋を四つ手渡した。
「えっ!いいんですか?こんなにたくさん」
「当たり前じゃない。あと、高志クンも」
そう言って俺にも四つ差し出してきた。
「お、ありがとう。何だか悪いね」
「気にしない気にしない。残りは美希に」
「え?ミキも貰っていいの?」
「当たり前じゃない。ご両親と一緒に食べてね」
「わー、ありがとー!」
「・・・ところで、いつまで休憩してるつもりなワケ?」
水瀬さんが冷ややかに聞いてきた。
中々の迫力で、怖い。
「えー、もうちょっといいでしょー?」
「アンタねぇ、今日は勉強会じゃなかったの?」
水瀬さんは美希の甘えを許さない。
眉間に皺を寄せるようにして、まるで呆れたような声で言った。
流石に俺も水瀬さんの言うとおりだと思う。
「その通りだね。クッキーは後でも食べられるし、お茶は続きをやりながらでも飲めるだろ?」
むーっと唸りながら、渋々続きに取り掛かり始める。
「ところで春香はどうする?本でも読んで待ってる?」
「あ、それなんだけど・・・。」
そう言うと、春香はバッグから見たことのあるプリントを出してきた。
「・・・それってもしかして」
「えへへっ。実は私もまだ宿題終わってないのよね。一緒にやっても、いいかな?」
「おいおい・・・」
思わず頭を抱えてしまった。
イヤ、もちろん構わないけど。
「どうしても分からない所があって、それでせっかくだから今日高志クンに聞こうかなーって」
「ナルホド。で、どの辺が分からないのかな?」
「ありがとう。で、ここなんだけど・・・」
まさか同級生の勉強まで見ることになるとは思ってなかった。
結果として自分の分はあまり進まないで、まるで家庭教師のようになってしまった。
でも水瀬さんは基本的に一人で全部できるから、見れなくても問題はないし。
たまにはこんなのも悪くはないか。

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