観葉植物
与太郎の妄想独り言

2017-06

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うつくしいかおり、のぞむはる その15

5月第2週 その1?1

「失礼します」
玄関を入ると美希のお母さんが、
「いらっしゃい」
続いて押しのけるように美希がやってきた。
「ちょっとお母さんってば・・・!高志クンおはよー」
「おはよう・・・・・・ございます」
どっちに先に挨拶したら良いか、迷ってしまった。
何よりも何故そんな競うように出てくるんだろう。
「もう美希ったら、そんなにお母さんの事邪険にしなくても良いでしょ?」
「それよりも何でお母さんが出てくるの?ミキが出ればいいだけなのに」
「あら?お母さんだって高志君と挨拶ぐらいはしたいじゃない」
「だからってミキを押しのけて先に出てくる事は無いと思うの」
・・・なんだろう?
この親子のこの手のやり取りは、基本的にただのコミュニケーションだ。
もちろん今までも数え切れないくらい見てきた・・・・・・つもりだったけど。
最近は何だか空気が違う、と言うかおばさんが妙にしつこい気がする。
どうやら気のせいでも無い様なんだけど。
「あの、とにかくここで無駄に時間掛けてると、もうやよいちゃんも来ちゃうんじゃ?」
「そう!そうだよ。もう、お母さんのせいで準備する時間なくなっちゃうよ」
美希は俺の言葉尻を掴んで、なんとか無駄なやり取りを断ち切ろうとしてる。
「準備なんて特に無いでしょうに。でもこんな所に来られても困っちゃうわね」
ところがおばさんは『分かってる』と言わんばかりに引き下がる。
この辺は流石に大人の貫禄だと、見習ってしまう。
真似はできないけど。




今日は美希と勉強会(残った宿題の手伝いとも言う)をする約束をしていた。
俺も通っていたから知ってるけど、中学はゴールデンウィーク明けに小テストがある。
まぁ休み中に宿題さえしっかりやってあれば、何も問題のない程度なのだが。
「それで、今回はどの位やってあるのかな?」
美希の部屋でテーブルの用意などをしながら、一応聞いてみる。
「えーっとね、全部」
「・・・全部残ってる、と言うことだな」
「うん」
座布団を用意しながら、ニコニコと笑顔で答える美希。
流石に頭を抱えた。
「どれか一つでもやってあればと、期待した俺が悪かったよ」
「えへへ?、でも今年は全部ちょっとずつやってあるんだよ?」
そう言って答えの書き込まれたプリントを、自慢げに俺に差し出して見せる。
見ると確かに、全部の教科で出されたプリントに答えが書き込まれている。
「で、全教科一枚ずつしかないんだけど、全部で何枚あるのかな?」
「うんっとねー、数学が5枚で、他は・・・3枚ずつ?」
目眩がしそうだ。
今日が4日でよかったとつくづく思う。
「今日一日で終わらせるのは、やっぱり無理だな」
「皆でやれば何とかなると思うよ」
「皆で美希一人の宿題をやるんじゃないだろ?やよいちゃんだって俺だって、自分の分をやるんだから」
「そっかぁ、みんなミキのお手伝いだけするわけじゃないもんね」
妙な納得の仕方をしてるけど、
「美希の分は美希が自分でやるんだよ?」
念を入れて釘を刺してみた。
「えーっ、ミキがやるのー?」
やっぱり、予想通りの反応が返ってきた。
去年から少しずつでも意識を変えるように努力してきたつもりだけど、中々伝わらない。
「分からない所はもちろん教えるけど、自分でやらなきゃ意味が無いっていつも言ってるだろ?」
「だって?・・・」
下から呼び鈴の音が聞こえた。
どうやら来たらしい。
「ほら、とにかくやよいちゃん迎えに行っておいで」
「は?い」
がっくりと肩を落としながら、美希が玄関に向かう。
その間に俺はテーブルの周りに座布団を用意していく。
やよいちゃんと一緒の勉強会も、もう一年になる。
本当なら美希のお姉さんの役割だったんだけど、去年は大学受験に向けて集中するため、俺がやることになった。
コレが思いのほか大変で。
美希は基本的に勉強が嫌いだ。
もちろん俺だって好きなわけじゃないけど、それでも最低限の宿題に予習・復習くらいはやる。
でも美希は『勉強は学校だけでいいよ』と言っては、宿題すらやろうとしない。
これは小学校の時からで、いくら言って聞かせても『なんとかなるよ』と聞く耳を持ってくれない。
後で聞いた話だが、美希のお姉さんもコレには手を焼いていたそうだ。
実際に美希は勉強が出来ないわけじゃない。
現状でもテストの成績は平均点以上を必ず出している。
だからこそ、普段の勉強と提出物の有無が重要なんだけど、当の本人には全く伝わらない。
コレばかりは本人がやる気を出してくれないと、周りがどんなに騒いでも変わらないんだよな。
と言うわけで、月に1?2回は必ず勉強会を開いて美希のやる気啓発を促しているわけだけど。
一年経っても結果は出てない。
「・・・・・・・・?」
「・・・・!・・・・・・・・・・。」
玄関辺りから声が聞こえてくる。
くぐもっていて内容はほとんど聞き取れないけど。
やがて階段を上がってくる足音が聞こえてきた。
でも・・・あれ?人数が多いような。
「は?い、どうぞっ!」
美希が部屋のドアを開けた。
「おじゃましま?す。あ、高志さん、おはよーございまーす!」
「おはよう。今日もヨロシク・・・って、え?」
やよいちゃんに続いて、伊織ちゃ・・・じゃなかった、水瀬さんが入ってきた。
「へぇ、結構綺麗にしてるんじゃない」
「ねぇデコちゃん、ミキってそんなにだらしなく見えるの?部屋の掃除くらいミキだってできるよ」
「だからデコちゃんって呼ぶのやめなさいって・・・、まったくアンタは何度言ったら分かるのよ」
相変わらず、仲がいいのか悪いのか判らない会話をしている。
「いらっしゃい。って今日水瀬さんが来ることになってたっけ?」
「何よ。私が来ちゃいけない訳でもあるの?」
冷たい視線を向けられた。
初対面の時のような攻撃的なものじゃないけど、それでも決して好意的なものでもない。
「そんな事はもちろんないさ。ただ知らなかったからビックリしただけで。」
水瀬さんは学年トップクラスの成績だ。
コレはやよいちゃんの話しを美希から聞いたんだけど、やはり家庭教師を雇っているらしい。
あの水瀬財閥のお嬢様が、公立の中学に通ってるだけでも不思議な話だけど。
やはり勉強に関しては学校だけでは足りないんだろうな。
だから、友達との勉強会なんてレベルの低い内容に付き合うなんて考えられなかった。
「あのー、私が話したんです」
やよいちゃんが教えてくれた。
「美希と高志さんと三人で勉強会してるって。で、今年の最初は今日やるって言ったら、伊織ちゃんも行くって」
ちょっと困ったような顔で、やよいちゃんが説明してくれた。
「本当ならこんな所、私が来るような所じゃないんだけど。アンタ達が普段どんな事やってるのか見てみたかったのよ」
「ん?っとね、お喋りしたりお茶飲んだり、あとお菓子食べたり。とっても楽しいよ」
いや美希、ちょっと待て。
それじゃまるで・・・、
「美希、勉強は何処でやってるのよ?」
すかさず水瀬さんが突っ込んできた。
「もちろん、ちょっとはやるよ?」
「美希?、これは勉強会なんだよ?お茶会じゃないんだからもっとちゃんとしないとダメじゃない」
冷静な突っ込みありがとう、やよいちゃん。
「最初からコレじゃ、先が思いやられるわね」
「ま、まぁこう見えてもやる時はちゃんとやるからさ」
一応フォローを入れておく。
そんな俺を睨みつけるように見て、
「何保護者面してるのよ。『ただの』幼馴染が偉そうに」
ピンポイントで痛い所を突いてくる。
そう言われてしまうと、確かに保護者でもない俺は何も言い返せない。
「ねぇ、デコちゃん」
俺が返答に困っていたら、美希が俺と水瀬さんの間に入ってきた。
「何しに来たの?高志クンとケンカするため?あんまり高志クンのことイジメるなら、ミキが相手してあげる」
「ちょっと美希・・・」
やよいちゃんが困ったように間に入ろうとしたけど、美希は水瀬さんから目を離さない。
「ミキが勉強しないのはミキのせいでしょ?高志クンは何も悪くないのにどーして高志クンのことイジメるの?
 ミキの事を言うなら分かるけど、これ以上高志クンのことイジメるならミキだって怒るよ」
美希は俺に背を向けてるから、どんな表情をしてるのか分からない。
でも決して優しくない語気と、恐らくはその表情に水瀬さんが気圧されている。
「べ、別にイジメてる訳じゃないわよ!ただ家族でもないのに保護者面してるから・・・」
「高志クンはトモダチだけど、ミキの事小さい頃からたくさん面倒見てくれたもん。家族と一緒だよ」
「そんなの・・・」
「あやまって」
水瀬さんが何か言おうとしたのを美希は遮った。
これ以上は何も言わせない、と言う意思表示だ。
こんな美希は俺も見たことが無い。
「美希、もういいよ。水瀬さんの言った事も別に間違ってない・・・」
「あやまって!」
俺の言葉さえも遮って、もう一度、今度は強い口調で美希は言った。
俺に背を向けたまま、真っ直ぐ水瀬さんを見て。
美希の顔を見てる水瀬さんとやよいちゃんは、複雑な顔をしてる。
ほんのちょっと間をあけて、一瞬顔を逸らした水瀬さんが
「・・・悪かったわ」
俺の顔を見てそう言った。
「いや、とんでもない」
そう返すのが精一杯だった。
「うん・・・。せっかくトモダチになったんだもん、仲良くしよ?こんなケンカ、コレで終わりにしよ?」
ちょっと俯きながらそう言うと、美希は振り向いて笑顔を見せた。
「高志クンも許してあげてね。ちゃんと謝ってくれたんだから」
「もちろん。・・・ありがとう、美希」
水瀬さんと美希を交互に見て、軽く美希の頭を撫でてあげた。
美希の強張っていた体から、やっと力が抜ける。
「悪いけど三人で先に始めててくれるかな」
なんとなくやよいちゃんに向かって頼んでみる。
「えっ?はい、いいですけど。高志さんはどうするんですか?」
「ちょっと忘れ物しちゃって」
それから美希を見て、
「すぐ戻ってくるから」
笑顔を見せてあげる。
美希も頷いてくれた。
「ちょっと失礼」
水瀬さんに向かってそう言ってから、美希の部屋を出る。
階段を下りながら思う。
美希も成長してるんだな、と。
まさかこんな形で美希に守ってもらう事になるなんて。
自分の情けなさよりも、目の当たりにした美希の成長振りがすごく嬉しかった。
「さて、忘れてた事済ませちゃうか」
美希の部屋を振り返って見てから、改めて美希のお母さんのところに向かう事にした。

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