観葉植物
与太郎の妄想独り言

2017-05

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

うつくしいかおり、のぞむはる その4

4月第2週 その1?3

教室の中はまだ静かなものだ。
そりゃあまだ知らない人の方が多いし、緊張もしてるから当然ではあるが。
もちろんそれは俺も同じ訳だし。
「進、おはよう」
その点コイツが一緒のクラス、それもこんな近くの席になったのは運が良かった。
「おはよう」
それはコイツも同じらしい。
中学の時は挨拶してもろくな反応もしなかったのが、今は返事が必ず返ってくる。
コイツは高峰進。
小学1年の時にクラスが一緒になったのが縁で、クラス替えのたびに一緒になったり離れたり。
親友なんて仲がいいわけじゃないけど、いわゆるクサレ縁ってやつだな。
「で?はかどってるのかい」
軽く手元を覗き込んでから聞いてみる。
「いーや、全然ダメ」
ため息まじりに答えてきた。
「ま、そりゃそうだろうさ。この時期それでなくても他にやることの方が多いだろうに」
「まーな」
「いっその事一度完全に筆置いたらどうなんだよ?」
「・・・お前、俺がそれできない性格なの知ってるだろ?」
「だから言ってるんだけど?」
「嫌がらせかよ」
「そうじゃなくて。さっき全然進まないって言ってたろ?」
「それとこれは話が別だろ」
「そんな無理して書くなら、いっそスッパリ筆おいてリフレッシュした方がはかどるかもしれないだろ?」
「余計なお世話だ」
「それを承知で言ってるんだけど?」
「あのっ!」
いきなり隣の席(ちなみに進の目の前)の女の子が声をかけてきた。
「はい!?」
思いもよらなかった事に、妙な裏声が出た。
進でさえも鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている。
「いや、あのね・・・け、喧嘩はやっぱり良くないんじゃないかと、思って」
「「喧嘩?」」
俺と進は顔を見合わせた。
「なんだか二人はお友達みたいで、せっかく新しい学校で一緒の教室、それもこんなに席が近いんだから、
 もっと仲良くした方がいいんじゃないかなって思って。余計なお世話かもしれないけど!それで・・・」
「プッ!」
あまりの一生懸命さに、つい噴いてしまった。
進もクスクスと笑っている。
「えっ?えっ?あの、私なにかおかしな事言った?」
心配そうな顔をして聞いてくる。
「いや、えーとアマミさん、だっけ?」
「あ、はい。あの、天海春香です」
「えー、じゃあ天海さん、俺たち別に喧嘩してたわけじゃないんだ」
「えっ!?そうなの?」
信じられないとばかりに目を丸くされた。
「そうなの」
ワザと語尾を繰り返してみる。
「俺は双海高志、よろしく」
握手を求めて手を出した。
戸惑いながらも、笑顔で握手してくれる。
「あっ・・・よ、よろしく」
「そっちは・・・オイ、自己紹介くらい自分でしろよ」
流石にそのくらいの礼儀はわきまえた奴だが、一応促してみる。
それでも面倒だと言わんばかりにため息をつく。
「高峰進です」
俺に習って右手を差し出す。
「よろしく」
こっちにも笑顔で応えてくれる。
いい笑顔だ。
「それでさっきの、喧嘩じゃないって?」
今度は神妙な顔つきになる。
随分と色々な表情を見せる人だ。
「単純な事。俺達あんなやり方でしかコミュニケーションが取れないんだ」
「?どうしてなの?」
不思議そうな表情。
コロコロと表情が変わって面白い。
「どうしてなの?」
またしてもワザと語尾を繰り返して、進に振ってやる。
俺が全部説明すると思っていたんだろう、ちょっと驚いた顔をしている。
「お前から説明したらいいだろう?」
思ったとおり、慌てている。
「だって、お前のせいだしぃ」
「お前が煽ってくるからだろ」
「あるぇ?何で俺、進に対してだけこんな言い方してたんだっけ?」
あらぬ所を見ながら言ってやる。
進は大きなため息を一つついた。
「・・・分かったよ」
どうやら観念したらしい。
「天海さん」
「は、はい!」
反射的に背筋をピンッと伸ばして、目をパチクリさせている。
見ていて飽きない。
「俺は、人付き合いが下手で、他人と喋るのが苦手なんだ」
「うそぉ!だってさっき、双海クンとあんなに喋ってたじゃない」
心から驚いた、と言う顔。
感情がこんなに表情に出る人はあまり見たことが無い。
「こいつには、喋らされてるんだ」
「どういうこと?」
「コイツはわざと俺の神経を逆なでするような言い方をするんだ。
 そうすると俺もつい感情的になって言い返しちまう。そこをコイツが突っ込んでくる、俺はそれに反論する。
 あとはそれの繰り返しさ」
「それってつまり、高峰クンに喋らせるためにワザと怒らせてるって事?」
やや天井を仰ぎながら、目だけを左右にクリクリと動かしている。
なんて変わった表情をするんだろう。
「そう言うこと。こうでもしないとコイツ、まともに人と喋りもしないからさ」
「誰も頼んだ覚えは無いけどな」
「そりゃそうだろうな。俺もそんな覚えは無いし」
「だったらやめりゃいいじゃないか」
「ほぉ、やめてほしかったのか?」
「・・・・・・フンッ」
最後は言い返さないで、鼻を一つ鳴らされた。
口元には薄い笑みを浮かべながら。
俺はそれを見てニヤリとするが、突っ込まない。
「はー・・・・・・」
天海さんは大きなため息をついた。
見ると、今にも目玉が零れ落ちそうなほど大きく目を見開いている。
さすがに説明した方が良さそうだ。
「俺達俗に言うクサレ縁でさ、本気で喧嘩する程突っ込みあう事は無いんだ。
 まぁ、ベタベタと仲良くするだけが友達じゃないって事かな」
「認めたくはないけどな」
「素直になれば楽になるぞ?」
「冗談じゃない」
「なぁなぁ、話の腰を折って悪いんだけど俺も話に混ぜてくれないか?」
俺の後ろの席の奴が、話の腰を折って割り込んできた。
「えっ!?いや・・・まぁ別に構わないけど。えーっと?」
「いいかい?ラッキー!じゃぁまず自己紹介させてもらうよ。時雨沢健司ってんだ、ヨロシク!」
「シグレサワ?」
天海さんが聞き返した。
「そう!『時』に『雨』に『沢』で時雨沢、あぁ呼びづらいだろうから『時雨』とでも呼んでくれりゃいいから。
 いやぁでも良かったぁ!俺このクラスに同じ学校だった奴がいなくてさぁ。
 オマケに『例の席替え』で窓際一番後ろなんて隅っこに追いやられちゃって。
 しまいにゃ目の前と隣の席の奴は毎日ケンカ口調の会話だろ?
 絡みづれぇなぁ、どうしよっかなぁって思ってたんだよ。
 そしたら天海さん?が二人の間に入ってさ。いやぁ度胸あるよねぇ、オマケに可愛いし。
 で話聞いてたら二人共イイヤツじゃない?これは俺も仲間に入らないと絶対人生損すると思ってさ!
 ・・・・・・あれ?どしたの?」
一気にまくし立てられた。
流石に俺でもリアクションに困った。
「いや、凄いな」
「へ?凄いってなにが?」
「何って、よくそれだけ一気に口が回るもんだな」
「いやだって、会話はコミュニケーションの基本だろ?」
「まぁ確かにそうだけど」
「でしょでしょ?いやぁ入学そうそうこんなイイヤツ等と友達なれてホントにラッキーだよ。これからヨロシク!」
あっけに取られて言葉にならない。
「高志一人でも五月蝿いってのに」
意外にも一番最初に口を開いたのは進だった。
あからさまにウンザリとした口調だったが。
「ま、そりゃお二人さんみたいに空気は読めないとは思うけど。
 その代わり嫌だと思う事は言ってくれればぜってぇやらないから」
「じゃぁまずは黙ってくれないか、五月蝿いから」
「あーこれはムリ。さっきも言ったろ?会話はコミュニケーションの基本だって。
 会話無しで意思疎通が出来るほど器用じゃないし、俺」
最初からダメ出しかよ。
大体が一方的にまくし立てるのは会話とは言わないと思うけど。
進が大きく天井を仰いでから俺に向かって言った。
「高志、お前が招き入れたんだからコイツ何とかしろ」
「俺が?いや、多分ムリだわ」
「何でだよ」
本当に怒ってる。無理もないけど。
「だって見てたら面白いから」
「お前っ・・・!」
「ぷっ!あははははは!」
天海さんが我慢できないとばかりに笑い出した。
やっぱり面白かったらしい。
「おっ、やっと笑ってくれた!さっきも思ったけどカワイイ笑顔だよね」
「え!?そ、そんなカワイイなんて・・・照れちゃうよ、あ、あははは」
言いながらも天海さんはまんざらでもない様子だ。
そりゃ言われてうれしく無い女の子もいないだろうけど。
それに、俺も同じ事を思っていた。
進でさえ、頭に上った血が引いたようだ。
「照れる事なんてないって。やっぱ女の子は笑顔が一番だからね」
言いながら両手で四角い枠を作り、そこから天海さんを覗き込んだ。
「畜生、カメラさえあれば一枚もらうのになぁ。もったいない」
「えっ?えっ?」
天海さんが戸惑っている。
「へぇ?カメラなんてやってるんだ」
進が時雨に声をかけた。
「え?あぁ、まあな」
さっきまでとは打って変わって随分と大人しくなった。
「どんな写真、撮るんだ?」
「今は、風景がメインだけど・・・」
「だけど・・・何だ?」
進が時雨の言葉尻を捕まえて突っ込んでいる。
珍しいとも思うが理由がなんとなく分かるから、俺はだんまりを決め込んだ。
「いや、まぁ・・・」
何か言いかけたところで予鈴が鳴った。
「あーっ鳴っちゃった、残念」
そう言えば天海さんも聞き入っていたのか、ずっと黙ったままだった。
もしかすると、案外勘はいいのかもしれない。
「ねぇ、双海クンも二人の話に聞き入ってたみたいだね」
前に向き直っていると、天海さんが聞いてきた。
「うん、何だか俺の知らない進の一面が見えたような気がしたから」
「ふ?ん、そうなんだ」
何か思惑ありげに笑みを浮かべた。
その理由は、すぐに分かった。
スポンサーサイト

● COMMENT FORM ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://yota323.blog63.fc2.com/tb.php/12-ea795d0e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

NEW ENTRY «  | BLOG TOP |  » OLD ENTRY

プロフィール

よた

Author:よた
色々と残念な親父です。

でも人生楽しんでます。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (5)
ご挨拶 (9)
SS (16)
ニコマス (125)
ニコニコ動画 (17)
はるるん (30)
雑記 (28)
携帯 (2)
美希 (27)
iM@S SP (2)
VOCALOID (34)
ネタ (3)
雪歩 (9)
MikuMikuDance (45)
写真 (10)
JAXA (13)
UTAU (4)
アイマス2 (5)
重音テト (2)

フリーエリア


My List
by yota39

FC2カウンター

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。